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“彫り”の真髄 |
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| 現在“彫金”という言葉はロストワックスなどのいわゆる“鋳造”に対し地金からアクセサリーを作る作業全般を指すことが多いですが 本来は鏨(タガネ)で文字や文様を彫る、別種の金属を埋め込む象嵌(ぞうがん)などの技法を意味しています。 その歴史は古く、起源は古墳時代後期と言われています。刀剣などの武具、神仏具、かんざしなどの装身具に腕のある職人に よって施され、脈々と受け継がれてきた技術です。 実際の仕事の様子を、簡単ですが紹介します。 |
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鏨(タガネ)について“鏨”とは鉄製の小さな彫刻刀を指します。これを“おたふく槌”と呼ばれる金槌で叩きながら彫りを施していきます。「自分の仕事は自分の鏨で行う」これが基本です。最近は完成されたものが売ってはいますが、まずは鏨を作ることから始めます。 良い鏨の条件は、 ・刃先が鋭く研げていること ・刃の角度が適当であること ・地金にあたる面が鏡面に磨いてあること です。 右の写真は私が普段使っている鏨の一部です。 彫る模様、大きさでさまざまな種類の鏨を使い分けます。 その中でも、代表的な鏨が下の2種類です。 |
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四分鏨 彫った跡が毛のような細い線であることから「毛彫り鏨」 とも呼びます。 扱うのは比較的簡単ではありますが、研ぐのは難しい鏨です。 葉脈などを彫るのに使います。 東大寺大仏の台座にも施された伝統ある技法です。 |
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片切鏨 江戸の彫金師、横谷宗眠(よこやそうみん)の創意によって 始まると言われ、読んで字の如く刃の片側の角で 彫っていく鏨です。 刃の角度、叩く槌の強弱で水墨画のようなさまざまな表情が 出せるので、特に和彫りに多く使われます。 |
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彫りが施されるまで 実際の手彫りの作業を、唐草紋様を例に紹介します。ワックスを削るのとは違い、鏨彫りはやり直しが出来ません。 集中力が要求される作業です。 |
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ヤニに固定する 温めれば柔らかく、冷えると固まる性質のある”ヤニ”に にしっかりと固定します。ヤニと銀板の間に空気があると 鏨が跳ねますので、慎重に行います。 今回彫るライターのような中が中空なものは、中にもしっかり ヤニを入れておきます。 |
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下書きを書く マジックなどで下書きします。 唐草模様などは、全体のバランスを見るだけのラフな下書き で充分です。 葉などの細かい部分は、実際に彫り進めながら決めます。 |
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毛彫り、巻き入れ ここから実際の彫り作業です。 左手で鏨を持ち、おたふく槌と呼ばれる小さな金槌でコツコツ と叩き彫り進みます。 唐草の”茎”を毛彫りで入れ、”巻き”の部分を力強く彫ります。 普通、巻きの部分は片切り彫りを用いますが、一刀は巻き専用 の特殊な鏨を使っています。 |
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片切り彫り 片切りで葉を彫ります。 ただ単調に彫るのではなく、強弱を付けて表情を出していきます。 大分、全体の雰囲気が見えてきましたね。 |
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毛彫り もう一度毛彫りです。 写真では解りづらいですが、上で彫った葉の中に葉脈を 入れていきます。 始めは弱く、根元に向かうに従って太く、深く彫ります。 |
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荒らし 唐草模様全体を際立たせる為、周りを全て荒らして艶消し にします。 |
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ヤニを温め、外したら付着したヤニを落とし、 (酢酸アミルを使うことが多いですが、ホームセンターで 売っているラッカー薄め液でも代用できます。) 磨いて完成です。 簡単に説明しましたが、実際はライターの片面を彫り終える のに丸一日掛かっています。 目と手先を酷使する作業なので、こまめに休憩を挟みながら 作業します。私の師匠もそうですが、昔の「彫金師」と呼ばれる 先輩方はこれを毎日行っていたワケです。 ほんとに頭が下がります。 |
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以上、簡単ですが彫りの紹介でした。 アクセサリーに関わらず、鏨を使った本当の手彫りの作品はもう殆ど見かけません。 昔は壁掛けや仏壇の飾りなど需要がたくさんあったそうなのですが、時代柄と安い輸入品の流入によって衰退し、他の伝統工芸 と同じで「彫金師、彫り師」と呼ばれる職人が皆高齢化してしまってるんですね。 せっかく世界に誇れる日本の業なのに、廃れさせるにはあまりにもったいない。 私がどれほど手助けできるかわかりませんが、、伝承できればと思います。 |
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