ブランドロゴ

地金から、創る

銀製装身具工房一刀では、彫りを施す指輪等も地金から手創りで製作しております。
切る、叩く、曲げるなど、現代となっては非効率とも言える方法で、一つ一つ、丁寧に創り上げます。
今はこの地金から作る作業全般を”彫金”と紹介されることが多いですが、本来は”錺り(かざり)”と呼ばれる作業です。

実際に銀板の状態から指輪が出来るまでを例にとって紹介します。
手作りでアクセサリーも作ってみたいという方はまずは指輪で練習されることをお薦めします。
切る、曲げる、ロー付け、磨きと、基本技術の全てが指輪製作には必要となります。


切り出し 地金を切り出す

銀板を糸鋸で必要な長さに切ります。
リングの場合は(内径+板厚)×3.14で計算します。
左手でしっかり固定し、肩の力を抜いて線ギリギリを切ります。
慣れない内は糸鋸の刃を折ってしまうことが多いです。
寸法だし ヤスリで寸法を出す

ノギスで長さを測り、正確に寸法を出します。
前工程の切り出しが雑だと、ここが面倒になります。
すり板を上手く使って、削った面が丸くならないように注意します。
なます 地金を「なます」

銀に限らず、金属は曲げる、叩く等のストレスを加えると硬くなります。
“加工硬化”という現象です。
針金を何度も曲げると、その内ポキッと折れますよね?
あれと同じです。売られている銀板は圧延加工されているので、
加工硬化した状態です。
多少赤みを帯びるまで火を入れれば軟らかくなります。


赤みを帯びたら、危険なのですぐに水で急冷します。
丸める 丸めて、リングにする

地金をなましたので、曲げることが出来ます。
芯金と木槌で、丸めていきます。
芯金はテーパーが付いているので、たまに上下逆にしないと
台形のリングが出来上がってしまうので注意です。

また、芯金にキズが付いていると指輪の内側にそのまま転写
されてしまうので、常にキレイにしておきます。
すりあわせ 接合面を摺り合わせる

光が漏れないくらいまで、接合面をピタっと合わせます。
板のバネ性を利用するのがコツです。
どうしてもすき間が出来てしまう場合は、合わせ面に一度糸鋸を通します。

ここではまだきれいな丸にする必要はありません。
次からいよいよロウ付けに入ります。
フラックス 接合面にフラックスを塗る

ここからは”ロウ付け”という接合作業です。
まず、接合面にフラックスという薬品を塗ります。
フラックスは火を入れた時に酸化を防止してくれます。
多くても、少なくてもダメです。
ロウをおく 接合するところにロウを置く

軽く火を入れ、フラックスに粘りが出てきたらロウを置きます。
ロウは銀と真鍮(だった気がする)の合金で、銀より融点が低いので、
一緒に火を入れ温度を上げると銀より先に溶けてすき間に流れ込みます。

フラックス同様、ロウも多くても少なくてもダメです。
どのくらいが適量かは、やはり経験で覚えるしかないです。
流し込む ロウを流し込む

火を入れ、ロウを流し込みます。
900℃以上になりますので、火傷に注意です。
ロウばかり火を当てると、変質して脆くなってしまいます。
(ロウが枯れるとも言います。)
指輪全体を温め、周りの熱でロウを溶かすイメージです。
また、ロウはより熱いほうに流れる性質があるので、均等に温めます。


ロウが流れたら、すぐに水で急冷します。
酸性液に漬ける 酸性液に漬けて、フラックスを溶かす

酸性液に漬けて、フラックスを落とします。
そのままヤスリで削ってしまう人もいますがフラックスは熱が入ると
ガラス質になるので、ヤスリの目を傷めます。

同時に、きちんとロウ付けできているかルーペ
などで確認します。
ロウをさらう はみでたロウをさらう

ヤスリではみでたロウを継ぎ目がわからなくなるまで削ります。
この作業は丸くしてからでも構いません。
次からいよいよ仕上げに入ります。
丸くする 芯金と木槌で真円にする

芯金を使って真円にします。
前述しましたが、芯金はテーパーが付いているので、たまに向きを
入れ替えて木槌で叩きます。

まだ、これが銀とはとても思えませんね。
磨く 表面を磨いて、仕上げる

中目〜細目〜油目と段々目を細かくしヤスリで表面を整えたら、
紙ヤスリかリューターを使って仕上げます。
傷が残ってしまったら、もう一度粗めに戻りやり直します。
仕上げ 外側を仕上げたところです。
内側も同じように仕上げます。

磨くにつれて銀が光を放ってくるこの瞬間はとても好きです。
坊主鏨 槌目を入れる @

そのままではつまらないので、槌目を入れてみます。

坊主タガネを用意します。これらのタガネも一刀では手作りで作っています。
先端の傷はそのまま指輪に転写されてしまうので、
きれいに磨いておきます。
槌目入れ 槌目を入れる A

芯金に入れ、金槌で跡を付けて行きます。
叩くと銀は伸びるので、サイズは大きくなります。
この指輪は伸びるのを想定して予め小さめに作ってありました。
完成 完成

もう一度磨いて、完成です。
イメージ通りの作品が出来ると、手放したくなくなるのが常。。

以上、指輪が出来上がるまでの作業を紹介しました。
単純な平打の指輪でも、多くの工程を経ていること、意外に原始的な道具、方法で作っていることがお解りいただけましたでしょうか?
手間が掛かる分、満足のいく作品が出来た時の喜びは例えようがありません。


Back